tkmiumのブログ

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プログラミング中に気づいたことや日々の記録を書いていきます。情報関係基礎の解説記事等も作成します。

「小学校プログラミング教育の手引」の追加事例の中身(プログラム)を見てみる。

何気なくツイッターをみていたら、なんだか面白そうな記事を発見しました。

blog.edunote.jp

小学校プログラミング教育の手引きなるものが文科省から発表されていたのですね。11月に改訂第二版が発表されていたようです。

 

早速中身をみていきたいのですが、その前に、なぜ面白そうだと思ったかというと上記事を書かれているすずすけさんが「どう考えてもドリル」と書かれていたからです。

引用をしてみます。

両方とも、どう考えても知識理解を問う問題になっています。
ただ、これが載っている以上は文科省としてお墨付きを与えたということ。

この2つの怖いところは、開いて放置しておいても、子どもたちはとりあえず活動が可能なところ(=プログラミング教育やりました感を出せるところ)です。

一応、試行錯誤したり、順番を考えたり、条件を変えての操作はしています。
確かに、ある意味ではこれもプログラミング教育の一つなのでしょうが、そうじゃ無いんじゃないか…?とも思います。

これらとどう付き合って行くべきか。更に頭を悩ませる事態になりました。

(参考文献1より引用)

 

 

どういう内容なのかますます気になる...私は来春から高校情報科の教員となりますので、そういった意味でもきちんと確認しておいた方がいいでしょう。

それではみていきましょう。

 

小学校プログラミング教育の手引き(第二版)について

いきなり追加事例にいく前に、ざっと目を通してみました。

「はじめに~なぜ小学校にプログラミング教育を導入するのか~」

今日、コンピュータは人々の生活の様々な場面で活用されています。家電 や自動車をはじめ身近なものの多くにもコンピュータが内蔵され、人々の生 活を便利で豊かなものにしています。誰にとっても、職業生活をはじめ、学校での学習や生涯学習、家庭生活や余暇生活など、あらゆる活動において、 コンピュータなどの情報機器やサービスとそれによってもたらされる情報と を適切に選択・活用して問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつ つあります。

 コンピュータをより適切、効果的に活用していくためには、その仕組みを 知ることが重要です。コンピュータは人が命令を与えることによって動作し ます。端的に言えば、この命令が「プログラム」であり、命令を与えること が「プログラミング」です。プログラミングによって、コンピュータに自分 が求める動作をさせることができるとともに、コンピュータの仕組みの一端 をうかがい知ることができるので、コンピュータが「魔法の箱」ではなくな り、より主体的に活用することにつながります。 プログラミング教育は子供たちの可能性を広げることにもつながります。

 プログラミングの能力を開花させ、創造力を発揮して、起業する若者や特許 を取得する子供も現れています。子供が秘めている可能性を発掘し、将来の 社会で活躍できるきっかけとなることも期待できるのです。

 このように、コンピュータを理解し上手に活用していく力を身に付けるこ とは、あらゆる活動においてコンピュータ等を活用することが求められるこ れからの社会を生きていく子供たちにとって、将来どのような職業に就くと しても、極めて重要なこととなっています。諸外国においても、初等教育の 段階からプログラミング教育を導入する動きが見られます。

 こうしたことから、このたびの学習指導要領改訂において、小・中・高等 学校を通じてプログラミング教育を充実することとし、2020 年度から小学 校においてもプログラミング教育を導入することとなりました。

(参考文献3より引用)

 

意訳すると

情報を適切に選択・活用して問題を解決していくことが不可欠な社会が到来しつつある

コンピュータの仕組みを知ることが重要。だからプログラミング

プログラミングを学べば子供たちの可能性を広げられるよ

今後はコンピュータを理解して上手に活用することが求められるよ。外国も結構導入してるよ。

 

こんな感じ?でもこの文章だと、よく言われている「論理的思考力」を伸ばすためにプログラミング....ではなくパソコンを使えるようにするためにプログラミング...

となっている気がする。

 

でも、公表についてでは

「小学校プログラミング教育の手引(第一版)」の公表について:文部科学省

2020年度(平成32年度)から実施される新小学校学習指導要領においては、各教科等の特質に応じて、児童がプログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施することとしました(小学校プログラミング教育の必修化)。

(参考文献4より引用)

論理的思考力を身につけさせるため~になっています。

 

先生が混乱しそう。

 

今回見ていくもの

B 学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に 示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの

に当たる、

  1. ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう
  2. 家族と食べる朝食を考えよう

 

の2つです。 面倒だったのでとりあえず1だけで...

すずすけさんが紹介されていたものです。

せっかくなので、プログラムをみていきたいと思います。

 

ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう

miraino-manabi.jp

ではまず一つ目これを見てみましょう。

 学習活動の分類 : 学習指導要領に例示されれはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの

対象学年 : 小学校第4学年

使用ツール : scratch

コスト・環境 : 学校所有のパソコン1人1台利用

 

学習活動の概要は以下のように記述されています。

単元や題材などの目標

コンピュータのプログラムを活用し、都道府県の地理的環境や自然条件、面積、人口や特産物などの特色を組み合わせて都道府県を特定する活動を通して、47 都道府県の名称と位置を理解する。

単元や題材などの学習内容

本小単元は、第4学年の2内容の(1)アの「(ア) 自分たちの県の地理的環境の概要を理解すること。また,47 都道府県の名称と位置を理解すること。」を踏まえ、単元「都道府県の様子」の中で、その内容を構成したものである。

 ここでは、地図帳などを活用して、地図上で各都道府県の名称や位置を調べて確認したり、白地図上に書き記したりする活動を通して、我が国が 47 都道府県で構成されていることや 47 都道府県の名称と位置を理解することが求められている。なお、47 都道府県の名称と位置の理解については、「第3指導計画の作成と内容の取扱い」の1(3)にお いて、「我が国の 47 都道府県の名称と位置,世界の大陸と主な海洋の名称と位置については,学習内容と関連付 けながら,その都度,地図帳や地球儀などを使って確認するなどして,小学校卒業までに身に付け活用できるように工夫して指導すること。」と示している。このため、本小単元で 47 都道府県の名称と位置全てを理解することを求めている わけではなく、児童が、他の単元でも繰り返し扱う中で、小学校卒業時までに身に付け活用できるようにすることが大切 である。

プログラミング体験の関連

 本小単元では、Scratch のプログラムを中心の教材としながらも、地図帳や白地図を同時に活用しながら学習を進め ていく。使用するプログラムは、47 都道府県の特徴が記されたブロックを組み合わせることにより、組み合わせたブロックに 記された特徴に合致した都道府県の名称と位置を示すよう、「Scratch」で作成されたものである。 

 特徴が記されたブロックを組み合わせることは、特徴の組合せを見付けることであり、特徴という条件によりふるいをかけ、 その条件に合致する都道府県を1つに特定する学習である。同時に、児童は、地図帳を活用し、特徴を探し、試行錯誤しながら特徴を組合せ(=条件設定を行い)、都道府県を特定する。こうした活動により、児童は、都道府県の特徴とともに名称と位置を理解していく。条件設定は、ブロックを組み合わせることで簡単にできる。何度も何度も繰り返し 取り組むことができたり、足りない条件(特徴)を地図帳から探したりすることで、単に地図上で理解することよりも思考 を伴った学習活動になることが期待できる。特徴を組み合わせて(=条件設定をして)都道府県を特定する活動を簡 単な操作で可能にすることは、このプログラムの利点と言える。また、児童が地図帳を活用せざるを得ない状況にすること も利点でもある。児童も楽しく操作しながら思考でき、理解につながることが期待できる。

 本小単元で活用したプログラムは、児童が条件設定しながら 47 都道府県の名称と位置を理解していくように活用で きるものである。このプログラムは、第5学年では、産業や国土の学習を通して獲得できる都道府県の特徴を、第6学 年では、歴史の学習を通して獲得した歴史的事象や文化遺産などを、それぞれ条件として追加して活用することができ る。また、地図や条件を変えれば、第5学年で世界の国々を扱う際にも、中学校地理的分野においても、活用すること ができる。このため、小学校第4学年以降も、地図や条件を変えて、継続的に活用していくことも考えられる。

 

操作画面

毎度おなじみスクラッチ。

複数の条件を選んで、47都道府県から条件にあう都道府県を絞り込んでいく...というプログラムです。

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試しに福岡県を表示するようにしてみます。

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4つの条件を入れて絞りこむことができました。

 

さて、使われているパラメータをみてみましょう。

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地方、とれるもの、海、気候、人口....色々ありますね。

 

今回福岡県を絞りこんだように、先生からお題として出された県を絞り込んでいくだけでも結構授業としては盛り上がりそうですね。

 

ところで、どんなプログラムなのかちょっと気になってきました。

なぜなら福岡県を絞りこむ時に、「人口」のパワメータや「面積」のパラメータを使っても絞りこみができなかったからです。

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だいたい、人口が多い・少ない、面積が大きい・小さいとかって大雑把すぎない...?

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何と比べてだよ!と言いたくなる。多分上位何県かだけで使えるパラメータなのではないかと予想。

 

ということで、プログラムをみてみます。

人口が多い、少ないを判定している部分を探します。

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これですね。

やはり、上位何県かだけ(今回は5県)でこのパラメータは使えるようですね。注釈をつけた方がいいでしょう。

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プログラムで使われている「ランク_人口」と「都道府県リスト」、「上位で表示するランク値」を表示してみました。

47都道府県の情報の入った配列リストから条件に一致する(今回は上位5番目まで)県を入れて処理するようです。集計処理は別の関数がやっています。

 

流れ

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  1. 旗をクリック
  2. 準備関数を実行
  3. スタートを実行
  4. 集計処理を実行
  5. 都道府県処理を実行
  6. 条件数が3より小さい(2以下)なら「3つ以上の条件を使ってね」と表示

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準備では初期化を行います。

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スタートで条件の設定

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それぞれの条件を実行して、while文を47回回して条件に当てはまる県をtemplistに追加

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while文をtemplistの長さ分回して、全ての条件に当てはまっている県を「結果_都道府県リスト」に追加

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「結果_都道府県リスト」が空でなかったら、中身を表示

 

 

(ロジックに全てのプログラムが書かれていますが、学習に使わないのであれば、ステージかどこかまた別の場所に書いた方がよかったのでは...と思いました。) 

 

感じたこと

プログラムはどなたが作られたのでしょうか。

結構手が混んでいます。制作にはかなり時間がかかっているのではないでしょうか。

 

でも、確かに、

 

これはプログラミングなのか...?

 

ですね。

 

児童がするのは、条件の書かれたブロックを繋げて結果をみるだけです。

これで論理的思考が身につくとは到底思えません。

 

意味がないなどとは思いませんが、私が同じことをさせるなら、スクラッチは使わず、条件を絞り込んでいくwebサービスにしますね。もしくはエクセル。「プログラミング教育」からは離れてしまいますが。

 

とりあえず、プログラミングを導入しなきゃ!なんか使えそうな教材ないか!と焦って作られたのではないかと思います。

 

ただ、高校生にこのプログラム自体を書かせるのはかなりいいかもと思いましたし、こうした案や事例がたくさん出るのはとてもいいことだと思いました。

 

数年後には、こうした学習をした子どもを教えることになると思うとこちらもたくさん情報収集をして行かなければならないなと思っています。

 

 

 

<おまけ>

最近私が注目しているのは、マイクロビットという学習教材。

https://microbit.org/ja/

イギリス発の教育向けのマイコンボードです。

1台2000円~3000円でかなり面白いことができます。

プログラム作成はビジュアルプログラミングでできますし、結果がマイコンに表示されて現実的なフィードバックがある。

無理してスクラッチを使う必要ないんじゃないかと思います。

 

tkmium.hatenablog.com

 

参考文献

  1. 小学校プログラミング教育の手引き(第二版)とどう付き合うべきか。追加事例に困惑なう。, パパ教員の戯れ言日記, https://blog.edunote.jp/entry/2018/12/09/082512 (2018/12/10参照)
  2. ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう。, 小学校を中心としたプログラミング教育ポータル, https://miraino-manabi.jp/content/266 (2018/12/10参照)
  3. 小学校プログラミング教育の手引き, 文部科学省, http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm (2018/12/10参照)
  4. 「小学校プログラミング教育の手引き(第一版)」の公表について, 文部科学省, http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/03/1403192.htm (2018/12/10参照)